ECOだより












宇宙から見ると地球はどんな星か?

若田光一著「宇宙飛行(日本実業出版社2011年発行)」の一文から地球に想いを馳せます。


 「地球は青かった」…この有名な言葉は皆さんも一度は耳にしたことがあると思います。この言葉を知り感銘を受け、自らこの目で見てみたいと幼少の頃に思った記憶があります。

 その「青く美しい地球」を目の当たりにし、この星(地球)に生まれ育った地球人としての喜びと、またこの星に生かされている感謝の念を強く感じた一人の宇宙飛行士の方の本を拝読しての感想を述べさせていただきたく思います。

 今はテレビなどで宇宙から見た地球の映像を私達も見る機会が増えましたが、やはり宇宙から直接見た地球は「やわらかな青色で輝くやさしい星」、真っ暗な宇宙で「青く迫る圧倒的な存在感」と宇宙飛行士ですら息を呑むような感動的な星であり光景のようです。

 その光景を想像するに、暗闇の中の地球は他の星のように生命体の無い惑星ではなく、そこには(地球上)国籍はちがえど一人ひとりの人生があり、また多くの生物、植物と共存しているという営みは、この地球の尊さが浮きぼりになるように感じます。
あたり前のように朝は太陽が昇り、夜には星空が現れ、時に雨が降り、雪が舞い散り、花が咲き乱れる季節があれば、落ち葉が儚(はかな)く散る情景など、あらゆる生命の躍動を感じるこの地球を「生命のゆりかご」と表現されるのも納得のできるところです。

 海があり、緑があり、生命体がその中で守られて生きていける要因の一つが地球の大気層です。大気層が太陽の光(エネルギー)を生命体にとって最も適切な状態にしてくれており、太陽からの距離等その他のあらゆる複合的な要因が地球を生命の星にしてくれています。

 太陽は超高温のガス球でできており、水素原子の核融合反応による水素爆弾が爆発している状態の連続で、膨大なエネルギーを生み熱と光を放っています。核融合による爆発は同時に大量かつ高濃度の放射線も放ちます。太陽から届く大量の放射線を浴びると被曝し生命体の存在は皆無となります。地球の大気層には上層から順に熱圏、中間圏、成層圏、対流圏があり、成層圏の中のオゾン層が有害紫外線を吸収し、熱圏と中間圏の間にある電離層が放射線の進入をブロックしてくれています。

地球の低温地域の北極圏でオーロラがカーテンのようにゆらいで見えるのは、電離層が太陽から届く大量の放射線の進入を遮断している光景なのです。つまり生命体が存在できる奇跡の環境を地球が創ってくれているのです。

 また、大気中の酸素(O2)の平均濃度は21%です。この21%はあらゆる植物体の光合成(CO2を吸収しO2を生産)によって維持されております。酸素濃度が高すぎると地球全体が一瞬で火事になり、低すぎると火を起こすのが困難となります。地球各地でおこなわれている森林伐採行為は環境問題においてO2 とCO2濃度のバランスを狂わせ地球の生命維持機能も歪めることになってしまいます。

 世界人口の増加に伴って地球資源の大量消費と同時にCO2排出拡大による地球温暖化が要因と考察されるように2015年3月24日には南極大陸で17.4℃(同日の東京の最高気温15.1℃)という気温が観測されています。

 壮大な宇宙の中で、ごくわずかな確率でこの美しい地球に生命がもたらされていることの尊さやその奇跡に想いを巡らせ、人類の繁栄が地球生態系を破壊することのないように環境問題を真摯に受け止め「たった一人の微かな行動など…」とあきらめることなく未来を背負う100年後の次世代も‘将来’宇宙から見る地球が青かったと、今の私達と同じく言えるように繋いでいくことこそが私どもの天命と考えますと共に、皆様におかれましても心の片隅にでも「命題」として感じていただけることを切に願わずにはおれません。


宇宙からのメッセージとして受け止めたいと思います!!
 米航空宇宙局(NASA)のハッブル望遠鏡が宇宙の笑顔をとらえました。宇宙空間で笑顔のマークのように見えるのは「SDSS J1038+4849」と呼ばれる銀河団。遠く離れた銀河が2つの目のように輝き、銀河団の間の強い重力で周辺の時間や空間がゆがむ「重力レンズ効果」によって笑った口元が形成されています。顔の輪郭は「アインシュタイン・リング」と呼ばれる天体の重力が空間をゆがめ、レンズのように光の経路を曲げる現象です。
…たとえば、日本から離れた異国の秘境や名所を見ることができない場合 がありますが、宇宙に広がる星空は地球のどの場所にいても見上げることができます。乳児は別として地球から一番近い天体のお月様を見たことがない人はおそらくいないと思います。つまり、宇宙は人類の誰もが知見している神秘空間といえます。その宇宙から「笑顔」のメッセージが届いているということを人類の一人ひとりが享受(きょうじゅ)することができれば、未来に向かって紛争のない平和な地球文化を創造することは難しいことではないと思われます。
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した銀河団=NASA提供




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