ECOだより





みんな大好きトランス脂肪酸?
ビタミン(A、B、C、D等)やミネラル(Ca、K、Mg、Na等)にさまざまな種類があるように油にも多くの種類があります。
油といえばダイエットの敵とか、肥満予防に油抜き献立までつくられる健康志向の昨今には誤解の多い栄養素の一つです。
まだまだ認知度の低いトランス脂肪酸。トランス脂肪酸って?


油脂や脂肪酸って?どんなもの
油には常温で液体のあぶら(油)と個体のあぶら(脂)があります。これをまとめて油脂(ゆし)と呼んでいます。この油脂は脂肪酸とグリセリンという分子からできています。油脂や脂肪酸、グリセリン、コレステロールを合わせて脂質と呼ばれています。私たちが普段食べている油脂成分の多くはトリアシルグリセロール(グリセリンに3個の脂肪酸がつながったもの)です。体内に蓄えられ、健康診断の項目にある血液中の「中性脂肪」とはこのトリアシルグリセロールを測定したものです。




トランス脂肪酸とは?
脂肪酸にはたくさんの種類がありますが、主な脂肪酸としては炭素の二重結合がない飽和脂肪酸と炭素の二重結合がある不飽和脂肪酸の2種類です。



不飽和脂肪酸には「シス型」と「トランス型」の2種類がありシス型は水素原子が同じ側にあり、トランス型は水素原子が反対側にあります。天然の不飽和脂肪酸はすべてシス型です。これに対してトランス型の二重結合が一つ以上ある不飽和脂肪酸をまとめてトランス脂肪酸と呼ばれています。


トランス脂肪酸の多量摂取は体に悪い!
脂質は三大栄養素一つであり、食品からの摂取量が少な過ぎると健康リスクを高めることになります。脂質は炭水化物やたんぱく質に比べて同じ量でもエネルギーが大きいため摂り過ぎると肥満や生活習慣病のリスクを高めます。そのため、飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸の摂取量は注意が必要です。
中でもトランス脂肪酸は食品から摂る必要がないと考えられており、摂りすぎた場合の健康への悪影響が心配されています。摂取量が多いと血液中の悪玉(LDL)コレステロールが増えて、善玉(HDL)コレステロールが減ることが報告されており、摂取量が少ない場合と比べて心臓病のリスクを高めることにもなります。
また「アレルギー疾患や免疫力の低下」、「ガンを誘発」、「認知機能の低下」のリスクが高くなる可能性も指摘されており、トランス脂肪酸を含む製品の規制をする国が増えています。


どうして食品にはトランス脂肪酸が含まれるの?
トランス脂肪酸には油脂を加工・精製(1、2、)する行程でできるものと、天然食品中に含まれる(3、)ものとがあります。

1、油の高温加熱の過程で生成される。
植物から油を絞る製造工程で高温加熱処理される際、家庭や外食にて使われる植物油が長期間加熱されている場合。

2、植物油脂などの加工の際に水素添加の過程で生成される。
液体の植物油や魚油に水素を添加して硬化させ、半固体、固体の油脂となるマーガリン、ショートニング※1、ファットスプレッド※2を製造する際。それらを原材料に使ったケーキ、パン、洋菓子、ドーナツ、揚げ物などに含まれる。

3、牛や羊(反芻動物)などの胃の中で微生物により生成される。
牛肉や羊肉、牛乳や乳製品など。

※1 ショートニング : マーガリンから水分や油脂を除いてパンや焼き菓子の製造などにバターやラードの代用として利用される。揚げ油として使用すると衣がパリッと仕上がり「サクッ」とした食感を出す。
※2 ファットスプレッド : マーガリンより水分が多く油脂は80%未満で乳化剤を使用。冷蔵庫に保存しても硬くならずパンに塗りやすい商品例として◯○ソフト、ラ◯マなど。果実、果実加工品、チョコレートなどの風味原料として使われる。


サクサクした食感 酸化防止のため 低コスト




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